今回はちょっと長いです。それだけ思い入れもあります。
聲の形(こえのかたち)
全7巻
全7巻
障害者情報を集めていたときに目に留まり、ちょうど「このマンガがすごい」でその年の1位を獲得したばかりということもあって、当時各所で大絶賛されていたのがこの「聲の形」。
障害者バラエティー「バリバラ」でも、障害者マンガ特集でメインで紹介されていたみたいですが、うっかり見逃しました;
「聴覚の障害によっていじめ(嫌がらせ)を受けるようになった少女・硝子と、彼女のいじめの中心人物となったのが原因で周囲に切り捨てられ孤独になっていく少年・将也の2人の触れ合いを中心に、人間の持つ孤独や絶望、純愛などを描いた青春マンガ」
(Wikipediaより編集)
(Wikipediaより編集)
「障害者マンガ」というと、自閉症児を扱った「光とともに・・・」や車イス恋愛の「パーフェクト・ワールド」ぐらいしか読んだことありませんが(どちらも1巻で挫折;)、私の中で障害者マンガって
「ね、障害者ってかわいそうでしょ?大変でしょ?」
「この話泣けるよね?」
「同情しちゃうよね?」
「てか泣け」「同情しろ」
という押し付けがましさを感じてしまって、わりと避けてたんですよね。
「聲の形」はたまたま電子書籍で第一話が無料配信されていたので、「これだけ障害者側から絶賛されてるなら」と読み始めたのですが、私も見事にハマりました。絶賛です。
少しネタバレも含んでいるので、以下隠します。
一般的(なマンガ)なら、こういう人はいわゆる「障害に理解のある人」ととらわれがちです。
でもここでは、そんな安易な善意に疑問を投げかけます。
硝子の障害のせいでかかる手間や迷惑により、最初は好意的だったクラスメイトたちも、だんだん彼女をうっとうしく感じ始めます。
障害による周囲への負担がいじめに発展していく、という話の流れはリアリティがあって斬新です。
話は少し脱線しますが。
話は少し脱線しますが。
人によって意見は様々ですけれども、私は、障害者と上手く生きていくには、いかに周囲の負担を減らせるかがとても重要だと思っています。
善意や正義感で乗り越えられるほど、障害者へのサポートは甘いものではありません。
すごく、大変です。
面倒くさい手間も負担もかかりまくり、「なんでそんなことしなきゃいけないの?」なんてため息はしょっちゅうです。
もちろん障害者本人だって、それはわかってます。
わかっていても、障害がある以上は周囲に迷惑だってかけるし、手伝ってもらうことも出てきます。
でもどうでしょう、いつも「ごめんなさい」「私のせいですみません」と思いながら生きてくのって・・・幸せでしょうか?
だから出来るだけ「お互いに」努力しないですむ方法を見つけることが肝心です。とても難しいことだけれど、努力義務のある人間関係なんて、長続きしません。お互い疲れてボロボロになるだけです。
善意や正義感で乗り越えられるほど、障害者へのサポートは甘いものではありません。
すごく、大変です。
面倒くさい手間も負担もかかりまくり、「なんでそんなことしなきゃいけないの?」なんてため息はしょっちゅうです。
もちろん障害者本人だって、それはわかってます。
わかっていても、障害がある以上は周囲に迷惑だってかけるし、手伝ってもらうことも出てきます。
でもどうでしょう、いつも「ごめんなさい」「私のせいですみません」と思いながら生きてくのって・・・幸せでしょうか?
だから出来るだけ「お互いに」努力しないですむ方法を見つけることが肝心です。とても難しいことだけれど、努力義務のある人間関係なんて、長続きしません。お互い疲れてボロボロになるだけです。
この物語ではあまり取り上げられていませんが、これは障害児を持つ親の大きな悩みのひとつではないでしょうか。
一体どこまで周囲に理解・協力を求めることができるのか?
頼みすぎず・引きすぎずの境界線は、障害児をもつ上でずっとついてまわる親の問題でもあると思います。
頼みすぎず・引きすぎずの境界線は、障害児をもつ上でずっとついてまわる親の問題でもあると思います。
話は戻りまして。
いじめは徐々にエスカレートしてゆき、ついに補聴器が壊されるという事態に。
保護者からのクレームを受けて学級会が開かれますが、ここで将也だけがいじめの犯人として挙げられます。
結局、硝子は転校し、次は将也がいじめのターゲットに。
生きる希望を失い自殺を決意した将也は、身辺整理をする中で、硝子のノートを見つけます。
死ぬ前に彼女に謝ろう、ノートを返そうと決意する将也。
硝子を見つけ、彼女を目の前にして、彼は予想外の行動を取りました。
彼女と再会したことで、彼は、死ぬのではなく自分の過去の過ちを償っていこうと決めるのです。
この展開は、小学生の頃のいじめ時代に伏線がはられています。
硝子が転校する直前・将也がいじめられ始めた頃、2人は本気でケンカをしているのです。
「障害者だからカワイソウ」なんてことは、将也は一度だって態度に示しませんでした。
いじめこそあったものの、それは気になる女の子へのそれと全く同じで、実は将也はちゃんと障害抜きの彼女と対等な目線で向き合っていたのです。
硝子は「友達になれるか?」という将也の提案を受け入れ、2人はぎくしゃくしながら関係を修復していきます・・・。
※ちなみに耳の聞こえない人は、発音もあまり上手くできません。
この物語に厚みがあるな、と思うのは、主題が障害だけではなく、いじめや友達、人間不信、恋愛等、高校生なら一度は経験したことのある要素が至るところにちりばめられているところ。
これは本当にときめきましたー!!
将也のニブチーン!(古)
物語はきちんと作り込まれていて、かといって「安易なメロドラマ」にもなっていません。
自分の障害が嫌になって辛く悩む硝子や、せっかく出来た友達と喧嘩してしまい、どうしたらいいのかわからなくなる将也なんかも出てきます。
自分の障害が嫌になって辛く悩む硝子や、せっかく出来た友達と喧嘩してしまい、どうしたらいいのかわからなくなる将也なんかも出てきます。
「かくかくしかじか」はある程度大人になってから読んだ方が楽しめそうですが、「聲の形」は逆に中学・高校生のみずみずしい感性を持って読んでいたら、もっと心に響いただろうな、と思える作品でした。もちろん、今読んでも十分楽しめますけどね。
機会があれば、ぜひ1話だけでも読んでほしいです。
ちなみにこちらは、アニメ映画化が予定されています。
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