2021年3月27日土曜日

かつて障害児だった娘の夢

 メキシコから日本に移ってきて今年の5月で10年になる。メキシコ人の夫はというと…ぐぬぬ。ここで仕事内容を書くと一発で身バレするので詳しくは書けないが、とあるマイナー製品のデザイナー兼販売をしている。

新商品が出るごとに売上が入るので毎月の収入に換算するのは難しいが、家計に入金してくれるのは月10~15万円ずつくらい?


夫の収入だけで暮らしていくのは厳しいけれど、私が正社員で働いているので、それで慎ましく生活しているといったところでしょうか。


私の仕事はというと、障害児相手に奮闘してたのが遠い昔のことのように、今は事務アシスタントという職に馴染んでいる。

以前の障害児福祉では管理職まで昇進していたので、今のアシスタント職では大幅に給料は下がった。けれど仕事内容はずいぶん楽だ。

「事務アシスタント」なので、上司からの「これやっといて」の依頼がないとやることがない。

「仕事は自分から見つけるものだ」って?チッチッチッ。大手企業すぎて仕事は様々な部門で分担されている。余計な手出しをしてはいけない。

事務アシスタントは一日中ネットで「青空文庫」を読んで終わる日も多々ある。暇だ。暇すぎるので、久々に英語の勉強をする時もある。


先日の面談では、とある国家資格を取ってほしいとの話が出た。

国家資格とはいっても毎月試験はあるし、合格率6割なので、3ヶ月~半年もあれば取れるものだが、「やることない時間があったら、テキスト使って勉強しといて」と依頼された。

やることない時間って、約9割が「やることない時間」なので、しばらくは勉強することが仕事になりそうだ。


仕事負担を考えれば、今の職場は天国だ。

フレックスタイム制なので、コアタイムさえ守れば出勤時間も退勤時間も自由。もちろん休憩時間も自由。自社ビル11階は社員向け食堂「スカイラウンジ」が解放されており、弁当を持参してもよし、社内販売の日替わり弁当450円を買ってもよし。主菜1品と副菜6品、味噌汁つき。

スカイラウンジは全面ガラス張りの吹き抜けのホールになっていて、おもちゃのように行き来する電車と、都会のビル群の向こうに遠くの山々を眺めることができる。


外資系大手ってすごいなぁ~。これでアシスタントから格上げしてもらって、もう少し給料よければ言うこと無しなんだけどなぁ~。

わがままを言っても仕方ない。


娘が高校入学して本格的に大学受験まで視野に入ってくると、今の収入では苦しい。

まぁそれまであと7年ぐらいはあるので、その間に昇進することを願おう。


ちなみに4月から小学5年生になる娘の将来の夢は「歴史研究者か、社会科の先生」。

「大学でソビエトとロシアの研究がしたいけど、無理なら学校の先生になる」

かつて奇声を上げて走り回り、言葉も喋れなかった娘が大学受験を希望するなんて。

娘の障害がわかった6年前にタイムスリップできるなら、自分に教えてやりたい。

「大丈夫だよ」、と。